年間で多額の医療費(生計を一にする家族全員の合算で原則10万円超)を支払った場合、「医療費控除」を確定申告することで税金の一部が還付されます。この医療費控除とふるさと納税の併用について解説します。
医療費控除はふるさと納税の上限額に影響する
医療費控除を申請すると、その控除額に応じて課税所得が下がるため、iDeCoと同様に住民税額が減少します。その結果、ふるさと納税の控除上限額(限度額)も数千円程度(医療費控除額の約2%〜4.5%程度)下がります。
ワンストップ特例が「無効」になる最大の落とし穴
医療費控除を適用するためには、税務署へ確定申告を行うことが必須となります。ここで非常に重要な注意点があります。すでにふるさと納税で「ワンストップ特例申請書」を自治体に郵送していた場合であっても、後から医療費控除のために確定申告を行うと、ワンストップ特例の申請はすべて無効化されます。
これを防ぐためには、確定申告書を作成する際、医療費控除の入力だけでなく、ワンストップ特例を申請したふるさと納税の全寄付データ(寄付金受領証明書に記載された金額など)も忘れずに「寄付金控除」として申告書に入力する必要があります。これを行わないと、ふるさと納税の控除が一切受けられなくなってしまいます。
セルフメディケーション税制との関係
ドラッグストア等で対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間1万2,000円を超えて購入した場合に使える「セルフメディケーション税制」も医療費控除の特例であり、同様に確定申告が必要となりふるさと納税の上限額に干渉します。
医療費が多くかかった年は、まず年間の医療費総額を確定させ、当サイトの「精密シミュレーター」に医療費控除額を入力して、正しく計算された上限額内でふるさと納税を行うようにしてください。
医療費控除額の計算式と対象範囲
医療費控除額は「その年に支払った医療費の合計額 − 保険金等で補填される金額 − 10万円(総所得金額等が200万円未満の方は所得の5%)」で計算され、最高200万円まで控除できます。対象になるのは本人だけでなく、生計を一にする配偶者やその他親族のために支払った医療費も合算できる点がポイントです。通院のための公共交通機関の交通費や、一定の要件を満たす歯科矯正費用なども対象に含まれます。
よくある質問(FAQ)
Q. 医療費控除の申請で、ふるさと納税分の控除が減ってしまうことはある?
A. 医療費控除自体がふるさと納税の寄付金控除を減らすことはありません。両者は別々の所得控除・税額控除として計算されます。影響するのは、医療費控除によって課税所得が下がることで、ふるさと納税の「上限額(限度額)」の基準となる住民税額が下がる点です。すでに寄付した金額自体の控除が取り消されるわけではありませんが、上限を超えていた場合はその超過分が自己負担になります。
Q. 医療費控除の申請を忘れていたことに後から気づいた場合は?
A. 確定申告の期限後であっても、5年以内であれば「還付申告」として医療費控除を追加で申請することができます。ただし、その年にワンストップ特例を使っていた場合、還付申告(確定申告の一種)を行うとワンストップ特例が無効になるため、還付申告書にふるさと納税の寄付金控除も忘れずに記載する必要があります。